とある日の

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飛び出す。スタートが少し失敗した。足がすぐに落ちなくてスピードに乗れない。後半どこまで追い上げれるかの勝負になってきた。二百メートルが過ぎ、足がつらくなる。さあ、ここからが普通短距離では味わえない自分がもっとも好きな意地と意地のぶつけあいだ。三百メートルを過ぎ、太ももが上がらなくなってきた。そこで味分は思った。おかしいと。だって着実に前より足が上がらないのだ。 体の故障とかは全くないし、つい先週の区民大会でベストを更新したばっかだったのに。 ゴールがやっと見えて、倒れそうな中、ゴールした。本当に突っ込むようにゴールへと。タイムは57秒。前より一秒落ちていた。軽くなきそうになってしまった。誰だって過去に負けたら、それはそうなると思う。ただ、ここでくじけている場合ではない。後二種目。自分には残っている。 テントに帰って次の自分の出る百mまで休むことにした。 九時50分。百m走の召集が始まった。自分の組とレーンは1組目の6レーンだ。百mでは、まず、自己ベストを出すことを目標とした。で、出来るなら十一秒台を出すことを目標とした。 男子一年百mが終わり、二年百m、自分の組になった。 SBより手前にある緑の線に立つ。声がかかるまで体をたたき、もみ、肩を回し、スタートに備える。 どこまで早く走れるか。自分自身もとても楽しみになってきた。コンディションは四百mと違い、かなり良い状態。百メートルは四百のようなミスはしない。心にぎりぎりまで言い聞かせる。 「オン・ユア・マーク」 風はない。グラウンドもいいコンディション。さぁいつでも来い。 「セット」     
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