とある日の

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腰を上げる・・・とりあえず去年2位であったので、去年3位以下の人には絶対負けたくない。港北区の二年百mでは、篠原が速かった。とりあえずそれについてけるだけ着いてく。そんなことをスタート直前に考えた。が、すぐにもみ消した。そんな事考えている暇ではない。 「パンッ」 スタートした。二〇mまで体があがるのをなるべく押さえる。だんだんと上げていく。今は、2位。前3m~5m先に篠原の二年生が見えた。やっぱ早いな。ただ、自分のそばには他に人は見えなかった。後半も絶対速度を落とさないよう、むしろあげるつもりで走っている。ただ、篠原の二年生はどんどん離れていく。速すぎ。 「今年も負けるのか」 そんな事が脳裏に過ぎったがそんな悠長なことを言っている暇は0.一秒、いや0.0一秒もないのだ。思い立った瞬間頭から捨てる。そんな事思っちゃ、勝てるはずない。今は、無理に追うより、自分の順位をキープすることを重要視して走ろう。ゴールが見える。ゴールラインを超した。そのとき思わず声が出た。 「くっそ」 あまりにも悔しかった。去年と同じ人に同じタイム差で負けていたからだ。一位が11.66。自分が12.31.ベストは出ていた。ただとても悔しい。そして、幾度も練習したがそれでも足りなかったことに気づかなかった自分に怒りを覚えた。 「来年こそは。来年こそは篠原の人に勝つ」 と思った。去年も思ったんですけどね。     
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