とある日の

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うちの二走の人の声だ。確かに聞こえた。止まれって。三走が出るのが速すぎたのか。二走が渡し方を間違えたのか。何にしろ、直に見ていない自分にはどちらかわからない。ただ、最下位で自分のところに着てることはわかる。途中で止まってしまっているから当然だ。ただ、一応バトンは渡っている。差は結構広めだけど、自分と相手の走力を比べると、バトンパスさえ上手くいけば、最低限入賞、運よくば、優勝が狙える圏内だ。 出る目標のチェックマーカーを3走の一年生が踏んだ。見えた。良く、ミスに対応してここまで持ってきてくれた。後に顧問の先生に言われて知ったことだが、二、三走のバトンミスは、落とすレベルのミスだったらしい。ただ、それを落とさず持ってこれたのは三走の一年生の臨機応変さが合ったかららしい。nice一年生。三走の人がチェックマーカーより一足前に出た。独特だがこれが自分のスタートのやり方だ。瞬間で出る。隣の人たちは全員もう出ている。五~一〇mは前に出ているかな。どこまで追えるのか。楽しみでしょうがない。ただ慌てない。練習通りやるだけ。本番も練習も何も変わらない。走る、貰うという行為については。 「はいっ」 声が聞こえた。手を後ろに出す。手に渡った。その瞬間手を前に出し、大きく振る。 6位。最下位できたバトンをどこまで上にあげれるかが勝負だった。当初の目標とかなり代わってしまったけど、そこは臨機応変にするしかない。自分の力でどこまで追えるかな。さあ、責任を取ろう。     
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