ふるほんや

レジ裏

僕は恋愛小説が大好きだ。
中学生男子の読むものにしては変わっているのかもしれないが。

読むようになったのは小学校の頃だったか。もともと読書が好きで、いろいろ漁ってはいたものの、何かのジャンルにのめりこんで貪るようにすることはほとんどなかった。
学校の図書室の本もあらかた読んでしまい、ちょっと変わり種でも探そうかと図書館に行って、普段読まない棚に手を伸ばしたのがきっかけだった。心に沁みるような、じんわりした恋愛小説。
僕は初めてジャンルにはまった。これだ、僕はずっと探していた。
ファンタジーやミステリーのわき役だった「恋愛」というジャンルが僕の心にサクッと刺さった。それからというもの、僕は図書館に通いつめ、片端から恋愛小説を読んだ。
今年に入ってからは図書館では足りなくなり、古本屋に足を運んでまでして恋愛小説を探すありさまだった。中学生にとって、普通に本屋で買うにはお金がかかりすぎる。僕はたくさん読みたかった。味わって、味わって、なるべく多くの本と出会いたかったのだ。
お小遣いをもらうと古本屋に走り、新たな本との出会いを求めた。家の本棚はあっという間に自分の好きな恋愛小説で埋まっていった。学校から帰ってきて、自分の部屋で本を読むのが一番幸せな時間だと思えた。
ただ、いくら恋愛小説が好きでも、それが多少周りと違うということは分かっていた。だから学校では恋愛小説は手に取らないようにするか、表紙が見えないように細心の注意を払ってカバーをかけて読むかしていた。ところがある日、僕はヘマをしてしまったのだった。