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祖母の足は家を出て最初の角を折れ、左方向の道をまっすぐ進む。のんびりながらも確かな歩調だった。割烹料理屋の横を過ぎ、看板はあるがシャッターはずっと降りたままの薬局の前を通っていく。かつて予想していた神社参りなどではなく、散歩の足取りは、最寄り駅である南海本線貝塚駅の方向へと向かっていた。貝塚駅は、僕一人で行くと家から五、六分で到着するはずが、今日は祖母に合わせて歩いたせいで、一〇分以上はかかってしまった。
そして僕らは、ご近所さんと出会って立ち止まるということもなく、駅前の信号を渡り、そのまま地下道をくぐって、駅の東口側に出た。東口側に来るのは、僕は久しぶりだった。こんなに駅近くに住んでいながら、自分に関わる用事を済ますには別ルートでまかなえてしまうので、なかなかこちらエリアに来ることはなかった。いつのまにか、有名チェーン店のおはぎ屋さんは、店じまいをしていた。代わりという訳ではないだろうけど、小さなチーズケーキ屋が出来ていた。そう言えば先日母が、この店の季節限定のカップチーズケーキを気に入って、また食べたいと言っていたが、時刻的にまだ開店前だし、しかも財布を持って来なかったしで、残念ながら親孝行は諦めることにした。
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