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あなたの面影
空虚に染まったままの冬を越して
あなたの声を求めている
探せどあなたはどこにも見つからず
あの柔らかな暖かみを思い出す
寒い春に差す陽射しの心地よさと
穏やかに微笑む振る舞いは
今頃になって癒やしだったと気が付いた
あなたがいない心の虚無感は
どんなに悔いても拭えないまま
忘れようとするたびに思い出している
あなたを失うくらいなら
忘れなければならなくなるくらいなら
小さな春の蕾に立ち止まらずに
ただあなただけを求めていたら良かったのに
せせらぐ水温の影にさえ
あなたの面影がそこにある
大切なものを大切だと言える優しさ
求めるものを求めるままに欲しがる強さ
今、あなたに逢いたい
小さな願い儚く
春風に流されて消えてゆく
何もなかったかのように……
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