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咲良祐希は、教師から見て全く問題点のない生徒だった。
印象を一言で言うなら、おとなしい生徒。
素行に問題もない。要領よく物事をこなし、要領よく面倒を回避する。成績も中の上。何も言う必要のない位置にいる。帰宅部だが、無遅刻、無欠席。忘れ物なし。目立ってつるむ友達も無し。男女問わず誰とでも笑顔で会話し、行事にも真面目に参加する。クラスで孤立しているわけでもなし。
それは言い方を変えれば、手のかからない楽な生徒。
少なくとも担任の斎藤飛翔は、そう思っていた。
しかし、ある日、斎藤のその考えは粉々に砕け散った。
見てしまったのだ。
薄暗い科学準備室。
咲良がスチール机の上に片肘を突き、白いシャツのボタンを半分開け、体を横たえながら覆い被さるように迫る男子生徒とキスをしている姿を。
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