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「いち、にー、さん、しー、ごー……。なんだよ、1000万しかねえじゃん」
不機嫌そうにいうと、暗闇に紛れる男性を睨みつけた。責められたほうは動揺することもなく淡々と説明する。
「残りは明日振り込む。これ以上現金がふえると怪しまれそうだったからな」
「ふーん。ま、それならそれでいいよ。最初に言ってた1000万は持ってきたわけだしな」
男性の弁明を聞いた野崎は、そう言いながらアタッシュケースをしめた。カチリ、という音をたてたカバンを手にすると携帯を操作しはじめる。
その顔は笑っていて、大金を手にしていることへの優越感からくる怪しいものだった。男性は何も言わずにそれを見ている。
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