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その成宮の言葉に合川の顔がこわばる。
つまり、たとえここのカメラが壊れていたとしても他のところにはカメラがあるわけで、本当にここにいたのならそこにも映っているはずなのだ。
だが、成宮は部下たちと一緒に調べたから知っていた。野崎冬馬はどのカメラにも映っていない。
「俺は貴方の嘘が嘘だと証明できますけど、貴方は嘘を本当だと証明できますか?」
彼にしては珍しい低音での攻める口調に、合川はすっかり抑え込まれてしまった。先程の勢いも、もはやない。
「……それは……、でも、私は……」
「ここでいいにくいなら、警察に来てもらってもいいですよ」
「……いいえ、ここで言うわ」
「話が早くて助かります」
警察につれていかれれば噂が立つ。それによる風評被害を避けたいと合川は考えたようで、素直にあの日のことを話し始めた。
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