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27. 浮上した容疑者
応接室に通された鷲尾が手持ち無沙汰の状態で立っていると、男性が部屋にはいってきた。
にこやかな、彼が犯人であるという可能性を忘れてしまうほどに至って普通の青年だった。
「……すみません、すぐに出てこられなくて。馬場です」
名刺を差し出された鷲尾が受け取る。
――馬場公太。
第一発見者であり、レストランとバーを経営するオーナーから聞き出した名前の人物。
「鷲尾です。こちらこそ、急にすみません」
鷲尾が丁寧に返し会釈をすると、彼は笑ってうなずきどうぞ、と椅子をしめした。2人は向かい合って座る。
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