27. 浮上した容疑者

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L&Rのオーナーで、野崎が店にいたと嘘の証言をしていた。鷲尾のこめかみが小さく脈打つ。ボールペンを握る手はいつもよりゆっくりと、合川美代とはっきり書いた。 「……となると、二股をしていた?」 「だから、蘇芳さんなんて人は知らないと言っているでしょう。話はこれだけですか?」 不機嫌そうな顔になると席を立とうとする馬場に、鷲尾は慌てることなく次の質問をつづけた。 「まだあります。昨日の夜、11時以降何をしていましたか」 「その時間なら、帰宅して今日の会議の資料を作っていました。1人で」 アリバイを聞かれているのだと察した馬場は、1人でをやたらと強調してみせた。嫌味なのだが鷲尾はその意図には気付かない。
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