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L&Rのオーナーで、野崎が店にいたと嘘の証言をしていた。鷲尾のこめかみが小さく脈打つ。ボールペンを握る手はいつもよりゆっくりと、合川美代とはっきり書いた。
「……となると、二股をしていた?」
「だから、蘇芳さんなんて人は知らないと言っているでしょう。話はこれだけですか?」
不機嫌そうな顔になると席を立とうとする馬場に、鷲尾は慌てることなく次の質問をつづけた。
「まだあります。昨日の夜、11時以降何をしていましたか」
「その時間なら、帰宅して今日の会議の資料を作っていました。1人で」
アリバイを聞かれているのだと察した馬場は、1人でをやたらと強調してみせた。嫌味なのだが鷲尾はその意図には気付かない。
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