27. 浮上した容疑者

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「2週間ほどまえの夜は?」 「その日も同じです。今、プロジェクトリーダーをしてるので。もういいですか?」 高圧的な言い方と見下すような視線が鷲尾に突き刺さる。これ以上は危ない、と判断した鷲尾は素直に引くことにした。 でなければ、今後、馬場に聞きたいことがあっても聞けないかもしれないからだ。容疑者に警戒されるのは真実から遠ざかりかねない。証拠隠滅をされるかもしれないし、何があるかわからない。 「分かりました。ありがとうございました」 「どーも。帰るならそっちのドアからどうぞ」 手帳とボールペンをしまった鷲尾はやや早足でドアへと向かい、一度会釈をして出る。 その背中を馬場は誰にも見られることなく睨みつけていた。
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