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28. はるるんとまりりんとクロ ―居酒屋にて―
「じゃーん!」
「じゃ、じゃーん……」
「…………」
夜、成宮と待合せた居酒屋で鷲尾を待っていたのは彼と清水の2人だった。
やや眉間にしわをよせ、成宮に聞きながら鷲尾は清水の隣に座る。というのも、成宮の隣には荷物が置かれていて必然的に清水の隣しかあいていなかったのだ。
もちろん、成宮の作戦である。
「なぜ清水がいるんだ」
「たまたま駅前で会ったんだ。ね!」
「たまには外食もいいかなって」
実家暮らしである清水は、普段は家でご飯を食べている。気分転換なのはもちろんだが、正確には成宮のおごるからという5文字につれられてきた。
――隣にはるるんが座るなんて聞いてないですけど!?
清水ですら成宮の作戦には気付いていなかった。内心はどきどきしているなか、水を飲んで気持ちをしずめる。
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