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それに、ずっと話を呆けた様子で聞くよりは料理を取り分けるという些細な役割をこなすほうが性に合っていた。
「合川さんじゃないとしたら、馬場さんになるの?」
これまで清水が聞いたことある名前のなかで、犯人でないと言われていないのは彼だけだ。しかし成宮は首をひねる。
「そうだとしたら、動機がないし証拠もないんだよなあ。蘇芳さんとの関係は否定してるみたいだし」
「どうやって探すかだな……糸も見つからないし」
「あ」
鷲尾の糸という単語を聞いた清水が一言もらした。
「糸っていえばいっこ気付いたことがあって」
「なんだ?」
清水は両手でグラスを遊ぶように軽くさわる。
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