29. はるるんとまりりんとクロ ―本当の証拠―

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それに、ずっと話を呆けた様子で聞くよりは料理を取り分けるという些細(ささい)な役割をこなすほうが性に合っていた。 「合川さんじゃないとしたら、馬場さんになるの?」 これまで清水が聞いたことある名前のなかで、犯人でないと言われていないのは彼だけだ。しかし成宮は首をひねる。 「そうだとしたら、動機がないし証拠もないんだよなあ。蘇芳さんとの関係は否定してるみたいだし」 「どうやって探すかだな……糸も見つからないし」 「あ」 鷲尾の糸という単語を聞いた清水が一言もらした。 「糸っていえばいっこ気付いたことがあって」 「なんだ?」 清水は両手でグラスを遊ぶように軽くさわる。
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