199人が本棚に入れています
本棚に追加
/179ページ
「……まりりん」
気まずそうに成宮が名前を呼んでみるものの、清水は顔をあげないまま、鼻をすする。
彼女が泣いていることは2人にも分かった。
「……もういいもん、はるるんのバカ!!!」
と、何かを決意したかのように涙声で一言、盛大に罵りながら顔を上げた。
「なっ、バカって」
鷲尾がそこでみたのは、涙は頬をつたい怒ったような鋭い目つきをした清水だった。
出会ってからこれまでこんな風に泣いたり怒ったりしたところを見たことがなかった鷲尾は、ここでようやく自分が言ったことの重大さに気付いたがすでに遅い。
「クロさんだけ頑張ればいいんだ!! もーしらない!!」
それだけいうと、フンとそっぽをむいて、鷲尾たちとは反対方向に歩いていってしまった。
最初のコメントを投稿しよう!