35. すれ違った気持ちを戻して

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「大学時代からはるるんとずっと絡んでるけどさ、びっくりするくらい女の影ってのがないんだ。朴念仁で、天然入ってるけど、自分の信じることには突き進む男らしいやつで」 聞きながら、清水の脳内に鷲尾の姿が浮かぶ。成宮の言うとおりの人柄である彼がそこにいた。 「まりりんは、はるるんが初めて興味を示した女の子だよ。自信持って。自信がなくなったら、俺がいくらでもチャージしてあげる」 そうして励ますと、清水はますます頬に涙を流した。 ――自信がなかっただけなんだ、私。 今まで恋というものをしたことがなく、妄想の域でしかななったことを現実で急にやってしまったがために、思わず立ち止まっていただけだった。
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