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連絡を無視されるという事実に、清水は諦めそうになっていた。しかし事情を知っている成宮は彼女が鷲尾から離れてしまわないようにフォローをしている。
そのことを理解した清水は泣かずにはいられなかった。自分の気持ちに気付き、鷲尾が自分のことをどう思っているか知ることができた。
「うっ、うっ……わ、私……ほんとは…すきなのかも……」
「かも、じゃなくて。好きなんだよ」
「……うん……ひっく」
これ以上ないくらいの優しい低音での言葉に清水はむせび泣くように嗚咽をもらしながら頷いた。
――その場面を約束の場に遅れて来た鷲尾が聞いていたことを知らないまま。
「……そうか。清水は、クロのことを……」
泣いている彼女の頭をなでる成宮、その2人の様子をみた鷲尾は一言もらしたあと店から出ていった。
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