36. 恋わずらい

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36. 恋わずらい

 ――結局、はるるん来なかったなあ。クロさん最後まで謝ってた。 翌日、清水は教授不在の部屋を留守番を頼まれ宮地と一緒にいた。本を中途半端に広げ、不満そうに口を尖らせる。それを見ていた宮地はひっそりと声をかけた。 「まーりーかー、大丈夫?」 「んー」 曖昧な返事をし、視線は本に向けられている。どこも見ていないような目に宮地はいささか不安を覚えた。当の清水本人は、鷲尾のことを考えているだけだ。 「気の抜けた返事しちゃって。今日、茉莉花が発表でしょ?」 「んー」 「大丈夫じゃないね、これは……」
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