5. 事件へのプロローグ

7/11
前へ
/179ページ
次へ
「そうだ、映画研究会!」 「……映画?」 清水の突然の大声にも鷲尾は動じずに尋ねる。 「けーちゃんがね、彼氏と一緒に少しだけいたんだよ。その美女がいたって言ってたから、聞いたら分かるかも」 「聞いてほしいな」 「うん、分かった!」 清水の提案に成宮は頷いた。彼の希望に清水も笑って頷く。 「あ、あとね、有名人がいるよ。四年生の野崎(のざき)冬馬(とうま)。すぐ女の子ナンパしてさあ、私もけーちゃんもされた」 「野崎冬馬……、そいつは何学部?」 「工学部。ロボット作ってるって自慢してた」 「ふーん。なるほど、まりりん色んなこと知ってるね。ありがとう」 清水がしゃべる内容を成宮は目は彼女のほうに向けながら、手帳に書き留めていった。その字は急いでかいたとは思えないほど整っている。
/179ページ

最初のコメントを投稿しよう!

199人が本棚に入れています
本棚に追加