5. 事件へのプロローグ

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 成宮がふいに内ポケットに手を入れたかと思えば、名刺を差し出した。 「これ、俺の名刺。その恵子ちゃんって子と会いたいから連絡先として渡してくれない?」 「うん。あ、今度連れてこようか? 私達いつも一緒にいるし」 「お、ぜひ! ならまりりんにも渡しておくね」 そう言って差し出された名刺には“警視”と書かれている。 「刑事さんじゃないの? 警視ってなに?」 「刑事さんたちをまとめる刑事さんだよー」 「……まあ、間違ってはないか」 ニコニコと返事をする成宮に鷲尾はため息をつきながら何かを言いかけやめた。 清水はそのやり取りを見ながら携帯に成宮の電話番号とアドレスを打ち込んでいく。 「鷲尾さんも連絡先交換しない?」
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