6. 最初の推理 ―事件は密室?―

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6. 最初の推理 ―事件は密室?―

「蘇芳さんのことで他に知ってることはある?」 携帯をポケットにしまいながら成宮が清水に尋ねる。彼女は首を横に振って申し訳なさそうな顔をした。 「さっきのことくらいしか。ごめんなさい」 「そっか。うん、ありがとう。映画研究会にも行ってみることにするよ」 「解決するといいね」 成宮は清水の励ましにありがとう、とお礼を言いながら手にしていた手帳もポケットにしまう。 鷲尾はカップから手をはなしそういえば、と切り出した。 「どうして自殺だなんて話が出たんだ」 「そこまではなしちゃうー?」 「何か悪いことでもあるの?」 「うーん、悪いことっていうか、まりりんが巻き込まれないか心配ないんだよね。犯人分かってないし」 成宮は事件関係者をあだ名で呼ばないのと同じように、一応無関係である清水を巻き込むようなことにならないかを心配していた。 だが彼女はケロッとした様子で 「大丈夫大丈夫! 私強いから!」 と根拠のないことを言ってのけた。
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