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鷲尾は小さなため息をついてからカップの取っ手をつかんだ。
「若く見られるならまだいい。30近いのにまだ独身だから、早く結婚しろと周りからの無言の圧力がすごくてな」
そう言い終えるとコーヒーを口に運ぶ。清水はなんとなく彼が独身なことに意外さを感じていなかった。もしパートナーがいれば、その人を大事にしそうだなと思っていた。
「二人とも独身なの?」
「ああ。クロは、好きな人はと聞かれたら人類! って答えるようなやつだ」
「いいそう。それすっごい分かる」
人懐っこい笑顔の成宮が元気よく言う様子が目に浮かぶ。かっこよくもかわいい彼は誰からも好かれそうだし、誰のことも好きになりそうだ。
「つまり、ひとが大好きなんだ。ひとを守るために夢はでっかく警視総監になりたい、と」
鷲尾は何かを思い出したように少し口端をあげ笑った。過去にそういう話をしたときのことを思い出したのだろう。
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