199人が本棚に入れています
本棚に追加
「ねぇ聞いてよ。今日も警察の人が来たのよ」
「ここに?」
後片付けや戸締まりをしながら合川が話す。
「うん。本社に内定が決まってた女の子が亡くなったらしくて、何か知らないかって。何も知らないって言ってるのに。もう三回目よ?」
呆れたように腰に手を当てて彼女が愚痴をこぼす。馬場はなんと返事をすべきか少し考えてから、提案をした。
「嫌なら美代のお父さんに頼んで圧力かければいい」
「そうね。あ、ちょっとバックヤードで整理してくるから、フロアにいてくれる?」
「分かったよ」
軽い調子で頷くと、ファイルの束を持った彼女がバックヤードへと姿を消す。馬場は人通りがまばらな外を眺めながら、ポケットに両手を入れていた。
最初のコメントを投稿しよう!