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10. 四人の集い ―蘇芳友梨について―
「蘇芳さんはどんな人だった?」
「そりゃあとっても素敵な人でした!」
成宮の問いかけに目を輝かせた宮地が答える。
「女の子たちのあこがれです。大人しそうな見た目とは違って、気さくに話しかけてくれますし、優しくて気遣いもできて……」
頭の中では良くしてもらった思い出が駆け巡っているのだろう、空中に向かいうっとりした様子で話す宮地だったが、そうそう、と現実に戻ってきた。
「彼氏もいて、婚約するんだって言ってましたよ!」
べキッ、と鈍い音が鳴る。
清水が見てみれば、成宮のボールペンの芯が手帳のページをひっかき鷲尾の手はかたい拳を作っていた。
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