10. 四人の集い ―蘇芳友梨について―

1/5
前へ
/179ページ
次へ

10. 四人の集い ―蘇芳友梨について―

「蘇芳さんはどんな人だった?」 「そりゃあとっても素敵な人でした!」 成宮の問いかけに目を輝かせた宮地が答える。 「女の子たちのあこがれです。大人しそうな見た目とは違って、気さくに話しかけてくれますし、優しくて気遣いもできて……」 頭の中では良くしてもらった思い出が駆け巡っているのだろう、空中に向かいうっとりした様子で話す宮地だったが、そうそう、と現実に戻ってきた。 「彼氏もいて、婚約するんだって言ってましたよ!」 べキッ、と鈍い音が鳴る。 清水が見てみれば、成宮のボールペンの芯が手帳のページをひっかき鷲尾の手はかたい拳を作っていた。
/179ページ

最初のコメントを投稿しよう!

199人が本棚に入れています
本棚に追加