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実は、携帯は見つかっていた。だがそれは蘇芳友梨がオーナーからもらったもので仕事用、つまりプライベート用ではない。現に、オーナーや同じアルバイト仲間とのやり取りしか残っていなかった。
「彼氏みたいな人がいたなんてことも、今まで誰からも聞いてない。彼氏って誰だよもうー!!」
頭を抱える成宮に宮地はうーん、と悩みながら答えた。
「年上だとは思いますよ。奢ってもらうことが多いようでしたから」
「年上ねぇ……」
清水はちらり、と鷲尾を見る。当の本人は見られていることにまったく気付かず、カップを口に運んだところで下に目をやった。ポケットに入れている電話に着信があったようだった。
「悪い、電話だ」
「出ていいよ」
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