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「だって、今、殺したのかって聞くから」
「君には動機もあるよね。自分をあしらい続けて、振り向いてくれない蘇芳さんのことを」
「俺じゃない!!」
成宮の言葉を聞きたくないのか大声で遮る。成宮はふーん、と口は開かないまま軽く声をもらし、ファイルを机上において、腕をくんだ。
「盗聴してたでしょ?」
「いいえ」
「なんでここにきたか、わかってていってるの?」
顔はにこやかなまま、刺々しい言葉が野崎を襲う。
「君の部屋から盗聴器が見つかってるし、蘇芳さんのストーカーだったことはいろんな人から証言されている。なのに、盗聴してませんだなんて嘘を信じると思う?」
眼光は鋭く、それこそ鷹のように相手を――狙った獲物を逃さないハンターのようだった。
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