17. 不器用な優しさ

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17. 不器用な優しさ

 管理人から預かっていた鍵を使い、部屋に入った鷲尾と成宮はドアを締めながら内鍵や玄関の棚の位置を確認していた。 「鍵は……ディンプルタイプか、新しいだけに防犯もしっかりしてるな」 鷲尾が成宮の持つ鍵を見ながら感心したようにいう。ディンプルタイプはもっともコピーされにくい鍵としてセキュリティ性が高いと評価されているものだ。 「防犯カメラがあったら最高だった」 「入口にあったじゃないか」 「裏にはないから、そっちから入ったらカメラには映らないんだ」 「ああ……。プライバシーがどうたらと騒がれる時代だしな」 文句をいう成宮を鷲尾はなだめようとするも、諦めた。彼の言うとおり防犯カメラがあればあっという間に犯人は判明し捕まえられるだろう。
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