17. 不器用な優しさ

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「……清水、どうした」 「の、のざ、のざき、さんがっ」 「……誰もいないぞ?」 清水が泣きながら名前をだしたのは野崎冬馬のこと。鷲尾が前を見るが、玄関前には町並みと空が広がっていただけだった。 「1階に、道路にいて、目、目があって、睨まれて、怖くて」 それ以上は同じことの繰り返しで、鷲尾はもういいと言う代わりに頭を2回優しくたたくようになでた。 ――あれ、私何やってんの!?!!!? 清水はそれで自分が何をしているのかということに気付き、恐怖心は消え飛びしおらしくなった。恥ずかしさと照れた気持ちの表れでもあった。
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