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「もしかしたら、あそこかも」
「心当たりあるのか?」
「うん」
「糸も見つからないし、その店に行くか」
それを聞いた清水が首を傾げる。
「糸、ってあの糸?」
「どの糸か分からないが、たぶんそれだ。そもそも裁縫道具が見つからない」
「それなら、あの引き出しの中にあったけど」
「なんだと?」
清水にいわれて鷲尾が反射的に示された引き出しを勢い良くあける。
そしてじっ、と見つめたあとでもらした。
「…………糸が、ない」
「ええ?」
清水も引き出しの中を覗き込む。
確かに裁縫道具はあれど、机の横にあるミシンに使うようなミシン糸はひとつもなかった。
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