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「うーん。具合悪くなってから、すぐに死んじゃったからね」
祖父は入院してから間を置かずに急死してしまった。
短い時間でお見舞いに来た人は限られていた。
「親族や顔見知り以外で、お見舞いに来たのは、あの人」
叔母さんは、通夜振る舞いの席で、黙々と寿司を口に運ぶ、
痩せた小柄な男を指さした。
私は慌てて「指ささなくていいですから」と、小声で注意した。
「誰ですか?」
「名前は野上さんって言ってたけど、どんな人かは知らない」
誰とも会話することなく、ただひたすらお寿司を食べる野上という男は、
見るからに怪しそうだった。
「あとは、あの人ね」
今度は指を指さず、目線で案内してくれた。
こちらも誰とも会話をすることなく、
オレンジジュースをちびちびと飲んでいる。
野上さんとは違い、やけに筋肉質で身体も大きく、眼光も鋭かった。
「山中さんっていう方」
「何者ですか?」
「さぁ? 昔の患者さんかなぁ。二人とも、誰も心当たりがなかったみたい」
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