第7章 イースター・エッグ

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「もう気づいていると思いますが、あの針に刺された生き物は、 絶対に死にません。不死の針です。身体が粉々になろうが、 千切れようが死にません。ただし痛みは感じますし、再生もしませんが」 にわかには信じがたい話しだが、 目の前で不思議なことが起こりすぎていた。 野上の話しを信じるしかなかった。 「ちなみにですが、この針で、祖父を刺した場合は……」 野上はゆっくりと首を横に振った。 「残念ながら、すでに亡くなられた方には効果はありません」 「……なぜ、このようなものが存在するんでしょうか」  野上は窓をゆっくりと開け、夜空を見上げた。 「あなたのおじいさんは、神様を動かしたのです」 「か、神様?」 窓から季節外れの蝶が舞い込んだ。あの時の蝶だろうか。 「自分の命など顧みず、自らを実験台にし、医学に貢献した方です」 野上は机に散らばる記録をパラパラとめくった。 「神様も感銘を受けます。そんな男をずっと見ておきたい、死なせたくないと思ったのでしょうね」 書斎の天井を一巡した蝶は、静かに机の上に止まった。 「多少規則を犯しても、この世にそんな男を留めておきたいと思った神様がいたんですね」 野上は蝶の上に、例の針を突き刺した。 「昆虫をキレイな形のまま、箱に留めておくように」
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