4人が本棚に入れています
本棚に追加
「よく分からないのですが……祖父の生き様が、神様を動かしたと?」
「まぁ、そんなところです」
野上が机の上から手をどけた。その瞬間――。
押入れの中から、筋肉質の男が飛び出した。
ヨシミ叔母さんが山中と呼んでいた男だった。
山中は野上の顔を勢いよく殴りつけた。
不意を突かれた野上はそのまま倒れ込んだ。
山中はそのまま馬乗りになり、野上の首を締め上げた。
私は突然のことに腰が抜け、床に倒れ込んでしまった。
恐怖のあまり、声も出せなかった。
首を両手で掴まれた野上は、山中に持ち上げられ、
バタバタと足を揺らすことしかできなかった。
やがて揺れていた足がゆっくりと止まった。
そして突然、青白い残像を残し、野上の姿が消えてしまった。
山中は一瞬、何が起こったのか、分からない様子だった。
しかし、すぐに我に返り、私の方を睨みつけた。
私が叫ぼうとした瞬間、すでに大きな手は私の首に絡みついていた。
すさまじい力で首を絞められ、声は行き場所を失った。
意識が遠のいていくのを感じながら、私はただ奇跡を祈った。
お願い神様――。
だが、その願いは届くことはなかった。
最初のコメントを投稿しよう!