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院内では気丈に振舞っていたが、電話越しに祖父の声を聞いた瞬間、
堰を切ったように感情が爆発し、涙が溢れ出た。
これから先、この悲しみに耐えていけるのだろうか。
耐えられたとしても人の死に慣れてしまう人間にはなりたくない。
長い時間、祖父と話し込んだ。話しも涙も尽きなかった。
祖父は電話の最後にこう言った。
「今度、帰ってきたら、ユリちゃんに良いものをあげるから」
「良いもの?」
「うん。奇跡をあげる」
「奇跡?」
「でもあくまでそれはお守りだから、できれば使わないように……」
しかし、祖父から直接「奇跡」を受け取ることは出来なかった。
私が会いに行った時には、すでに祖父はこの世を去った後だった。
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