第4章 本通夜

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本通夜は盛大に行われた。 祖父の知人友人はもちろん、昔の医療関係者から患者まで、様々な人物が訪れ、 過疎地の町には珍しく、家の外には長蛇の列が出来ていた。 私を含め、親族は弔問者への対応に追われることになった。 式が一通り終わると、私は通夜振る舞いの席にお坊さんを案内した。 そのお坊さんとは、小さい頃から顔馴染みで、会うのは久しぶりだった。 私のことは、親族から聞いていたようで、 「お医者様になられたとは、立派なことです」と、微笑んでくれた。 席に案内し、私が離れようとすると、お坊さんはこんなことを口走った。 「お気をつけ下さいね」 「何がですか?」 「弔問客の中に、変わった方がお一人いらっしゃいますので」 「変わった方?」 「この世の者ではない、何かです」 「……」 「お気をつけ下さい」 お坊さんは、深々と一礼した。 私は何も言えなかった。全身に鳥肌が立った。 私のポケットのハンカチの中には、おそらくこの世の物ではない、 何かが挟まっていたから――。
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