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「先ずはイケメンのピアニストを狙うわ」
手帳に書かれたイケメンリストをチェックする。
ターゲットは三年生の神本先輩。容姿端麗で、誰にでも優しく、一部の女子生徒からは王子様と呼ばれている天才ピアニスト。
才色兼備な私にピッタリね。運命を感じるわ。
噂では放課後にピアノの練習をしているらしい。
ドキドキしながら音楽室に向かうと、ピアノの音が耳に届いた。
「美しいメロディーが聞こえる。もしかして、神本先輩が……はうあ!?」
ドアの隙間から覗き込むと、天使の様なイケメンがピアノを演奏している。
その指捌きは華麗で、重厚感のある音色は心に直接響き渡った。
天使なの? 天使が下界に舞い降りたの? なんで? 私と出会う為に、堕天使になっちゃった? 天界を追放されちゃったのかしら?
そこまで私の事を……嬉しい。でも、駄目よ。住む世界が違い過ぎるわ。勿体無いけど、ここはスルーしましょう。
……
……
イケメンリストで次のターゲットを確認していると、急にピアノの演奏が止まった。
「どうしたの? 僕に何か用?」
しまった! ちょっと背中を押されたらキスしちゃうくらいの距離まで近づいちゃった。無意識でイケメンパワーに吸い寄せられたのね。
「あっ、その、綺麗な音色だなって……」
「ありがとう。嬉しいよ」
堕天使が魅惑のスマイルを私に向ける。いけない……このままでは心を奪われて……
……
……
……問題無いわね。堕天使でも、悪魔でも構わないわ。イケメンだし、紳士的だし、既に私の心はあなたのものよ。
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