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祝いの花
翌日にはすっかり落ち着いていた。まだ熱はあったけれど、高い状態は脱した。
一気に快方へと向かったことに、エリオットが驚いたくらいだった。
「騎兵府の者は回復が早いけれど、貴方は特別ですね。熱が引いてきたら一気に回復し始めるなんて」
「昔からこうなんです」
多分、明日にはもっと状態がいいはずだ。ランバートはニッコリ笑ってエリオットに礼を言った。
「騎兵府の体力訓練は殺人的だからな。体力だけはある」
「ご自分でも殺人的だとお思いでしたら、少し加減してください」
私服姿で寛ぐファウストが笑いながら言うが、笑い事じゃない。最初は本当に筋肉痛で体がきしんだくらいだ。
「これを乗り越えられなくて、どうして戦場に出られる。数ヶ月、場合によっては年単位で敵地に出る事になるんだぞ。体力と気力がなければやっていけない」
溜息をつきながら言われる事に、ランバートも苦笑するしかなかった。
「でも、流石にパーティーはダメだね。今しっかり治さないと、また熱が出ても辛いし」
今夜は年末。今日の零時を過ぎると、新年だ。
毎年この日は騎士団に残った者でパーティーがあるらしい。勿論自由参加なのだが、賑やかだと聞いていた。
「まぁ、仕方がないな」
「ファウスト様は参加してきてください。俺はもう大丈夫なので」
なんだかこのままここに居残りそうなファウストに声をかけると、途端に眉根を寄せられた。やっぱり、行かないつもりだったのか。
「一人で残して行くわけにいかないだろ」
「大人しく寝ていますので、お気遣いなく。それに、貴方からの言葉がないと場が盛り上がりませんよ」
そう言うと、ファウストは眉根を寄せながらも考えこんでしまった。
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