違和感

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 夕方になって掃除も整理も終了した。鍵を掛けて解散したが、ランバートはウェインについて点検の紙を運んでいた。  騎兵府執務室ではファウストが書類の山に囲まれていた。 「物品の在庫整理終わりました」 「お疲れ様、ウェイン。ランバートもお手伝い?」 「オリヴァー様」  既に報告なりを終えたらしい青年が、たおやかな物腰で話しかけてくる。  アイスブロンドに、優しげな緑色の瞳のその人はとても騎士団の人間に見えない。けれど、れっきとした師団長でもある。  第四師団を預かる師団長、オリヴァー・クックその人だ。 「ご苦労だったな。物品は揃っていたか?」 「なんとかね。でも、再整備しないといけない物もけっこうあったよ。第五師団管理の槍なんて特に」 「グリフィスだね。彼も本当に困ったさんだから」  オリヴァーがとても穏やかにそんな事を言うが、彼以外は多分「そんな可愛いものじゃない」と思っただろう。目がそんな感じだ。  第五師団を預かるグリフィス・ハッセは、猛獣のような人だ。  癖の強い黒髪に鋭い金の瞳。筋骨隆々という体つきで、性格も荒っぽい。よく言えば豪快だろうか。だから決して、「困ったさん」なんて可愛い表現は合わない。     
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