429人が本棚に入れています
本棚に追加
/28ページ
寂しい
翌日になって、朦朧とするような状態からは回復した。声も出るようになった。
だが、症状の悪さはものすごくはっきりと自覚できた。
動くと頭痛がして目が回る。喉が痛くて飲み込めない。声は出るが掠れて酷いものだ。
「とりあえず、発熱は落ち着いたかな。寒気はあるかい?」
「いえ、今は」
体温計を睨んだエリオットに問われて、ランバートは答える。首を振ると頭痛がするのが最悪だ。
「上がりきったかな。夜は分からないけれど、今はそれでいい。喉の腫れはまだおさまっていないね。咳は?」
「今はありません」
そう答える合間に咳が出て、一気に説得力がなくなった。
「それにしても酷い声だね」
私服姿のオスカルが苦笑している。彼はもう仕事がないらしく、今はエリオットについてきたようだった。
「ラウルが謝っておったわ。看病してもらって、うつしたのではとのぉ」
「そんな事はありません」
ウェインといい、ラウルといい少し気にしすぎだ。
シウスも私服姿でここにいる。ラウルが実家に帰省したので、手持ち無沙汰なのだろう。
「貴方は少し、他の人に気を使いすぎるのかもしれませんね」
エリオットが苦笑しながらそんな事を言った。
最初のコメントを投稿しよう!