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人類が機械に食われる。
そんなSFも昔は流行ったらしいが今となっては現実感がない。
正しくは、人間の社会構造が変わる、だ。
前々世紀なら馬車で行っていたところを、車が出来、各々が好きなように向かっていく。
それと同じように、AIのおかげで仕事が格段に効率化することはあったとしても、AIそのものが人間にたてつくなどどいうことはありえない。
人間を食うのは、あくまで人間だ。
社会は誰かの都合の良いように回り、我々凡人はその影響をもろに受ける。
会社という企業形態が、従来のような出世を目指すものだと誰が決めた?
これからは、降格を目指す時代だ。
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とはいえ、そんなことを唐突にいわれても意味が分からない。
わが社はどうやら時代の最先端を、それも望むべくない方向へと行っているらしい。
根元はあごをなでながら説明する。
「確かに、今までは出世の時代だった。だが、そのことがいったい何の意味を持つ?出世して、傲慢になって、私欲を肥やして……会社にとって有害ではあっても、そんな存在、利益には決してなりえない。」
混乱する俺を目の前に、言い慣れているのだろう、淡々とした口調で彼は語る。
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