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違和感に気づいたのは、入社してから一週間が経ったあたりからだった。 社会人の一週間などあっというまで、実際何が異常で何が普通なのかを見極める暇もない。 だからその日まで、それに気がつかなかったのもむりはないのかもしれない。 とにかく、最初は小さな違和感だった。 「どうだい、仕事のほうは」 昼休み。 部署を超えた交流が盛んなこの会社は、もとより垣根なく同僚と食事をとることが出来る。 この日はメンターとしてやってきた根元に、そのまま会社近くのレストランにつれていってもらったところだった。 落ち着いた調度に、色合いの洋食屋。 硬質な椅子を背に感じながら、きらめく銀食器で肉をのみ込む。 BGMは穏やかに耳を通り抜けていった。 根元は俺の向かいの席に座り、コーヒーに舌鼓を打っている。 無作法な俺はそれを既に飲み干し、適宜注がれる水で喉をいやしているところだった。 根元は柔らかな表情でその質問をぶつけてきた。 「仕事には、もう慣れたかね?」 「いや、なかなか、難しくて……」 「そうだろうね。私も入社して一週間目など、左右どころか、どこに自分の居場所があるのかもわからない状態だったよ。」 うんうんと根元はうなずくと質問を変えて     
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