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「じゃあ、困ったりはしていないかね?」
「いえ、そんなことはぜんぜん!!皆さん、優しい方ばかりですし、懇切丁寧に教えてくださって。同僚も気の合う奴が多くて、私生活の上でも困るようなことは」
弾む俺の声に、根元は目じりを寄せて
「それはなによりだ。まあ、そうなるとメンターとしての私は必要ないということになってしまうのかもしれないがね」
自嘲気味にそう付け加えた。
俺は慌てて
「い、いや、そんなことは……」
「なーに、冗談だよ。冗談」
どこまでも広がっていくような笑み。
最初の印象とは違い、気兼ねなくこういう表情をみせてくれるのも根元のいいところだった。
俺も笑って、グラスに軽く口をつける。
根元はそれから
「半年もしたら、君は部長として、頑張ることになるんだから」
そう言って、にっこりほほ笑んだのだった。
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