隠し味を少し。

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貴方がいつも褒めてくれた、カレーライスを作るの。 スーパーで買ってきた食材は、ありきたりで変わったものなどない。 ジャガイモに人参、玉ねぎにお肉にカレールー。 それでも何回作っても、世界一美味しいと褒めてくれる貴方。 それだけで私はとても嬉しい気持ちで満たされていきます。 その食べている姿を見ているだけで良かった。 この日々が、一生続くとあの頃のバカな私は思っていました。 貴方と出会ったのは、高校3年生の夏でした。 それまでも貴方の存在は知っていました。 野球部に所属していて、いつも遅くまで白球を追っていましたね。 違うクラスだったけれど、友達がいたのか、よく私のクラスに遊びに来て、同じ部活で一緒の田中君とふざけあっていて。 私は図書委員であった事もあって、休み時間はいつも本を読んでいました。 いつも騒がしい彼らとは関わりがなく、とても静かで大人しい人だと、周りはいつも言っていたような気がします。
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