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「やっぱりあの子は東吾の弟だったんだ! じゃなくて……だから! 彼の車で轢かれそうになったの! お詫びと手当にって連れ込まれて、手錠掛けられてベッドに固定されて!!!」
「抵抗もできずに……って」
なんだか疑わしそうな視線だった。
「あのね!!! あんな大男に腕掴まれたら逃げられないから! 何されるかも判らないんだから怖くて抵抗もできなくて! そりゃ手錠もされるよね! 男の力で押されたら、倒れて当たり前だから!!!」
私は精一杯無実を訴えた。
多分身長は180センチは超えてるだろうな、線は細そうだけどガリガリは訳ではない、そんな男に腕掴まれたら、やっぱ抵抗は無理だ。
「本当に、私、私……怖かったんだから……!」
「そっか……ごめん、あいつ、手癖が悪いのは知ってたけど」
そうなの!?
「怪我は、ない?」
「う、うん……っ、そんな男の車にのこのこ乗った、私も悪いと言えば悪いけど……」
思わず口籠って言った、馬鹿だな、健次郎くんが全部悪いにしとけばいいのに。
そんな気持ちに気付いてくれたのか、東吾が私の髪を撫でてくれた。
「東……」
見上げると、優しい笑みがあった。
「久しぶりだね、綺麗になった」
途端に、顔が火を噴いた。面と向かってそんな事……!!!
「──俺、亜弥に会いたかった」
「東吾……」
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