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ああ、もう、お願い早く……トイレ行きたいよー!!! と、男性の、横顔を見ていて、私ははっとする。 「──東吾、くん?」 かつては呼び捨てだったけど、久々だし人違いだと悪いので、くん付けで呼んだ。 でも、間違うはずが無い。 だって、ここは葉山姓の兄がいる弟の家なんだ。その家に、子供のままの面影がある彼が、他人の空似の訳が……。 引き出しを漁っていた彼が、「ん?」と返事をして顔を上げた。目が合って数瞬、彼もはっとした。 「──亜弥……?」 ……嘘……!!! 可愛い印象だった東吾が、これまたすんごいイケメンになって、目の前にいる。 丸っこかった顔は細面になっているけれど。それでも人懐っこい目は昔のままだ。すっと通った鼻筋がまた格好よさを引き立てている。 しかも、和服、袴、ああ、そんな意外な和風な姿がまた似合ってて、すんごい好青年に……! か、かっこいい……! 昔を引きずっていなくたって、こんな人を目の前にしたらときめかないわけないだろうくらい、かっこいいよ! 「……亜弥が、なんで健次郎の部屋に」 彼は探し物の手を止めたままに、少し不機嫌と思える顔で私の姿を上から下まで見ていた。 あ、誤解されてる!     
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