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嘘でしょ……! 五分の二を当てた──!
およそ一時間半ぶりに手足が解放された、しかもそれが東吾のおかげで……喜びひとしおだった。
東吾もだったんだろう、私達はそのまま抱き締めあった。
「東吾、東吾……!」
泣き声で呼ぶと、東吾は強く抱き締めてくれた、その温かさに浸っていると、くいっと左脚を引っ張られた。
ん?
そして響く、ガシャンと言う金属音──。
「──え?」
「──ケン、お前……!」
まだ外していなかった私の左足にあった手錠が、東吾の右足首にはまっていた──!
「はい、おめでとう、愛の勝利、俺は負けを認めるよ」
健次郎くんはつまらなそうに言った。
「そんなに引っ付きたかったら、いつまでもそうしてな」
「ふざけた事を……!」
その時健次郎くんはベッドの上から何かを取り上げた。
「ケン!」
一度それを放り上げた、今使ったばかりの手錠の鍵だ!
取り返そうとしたのか動いた東吾に足を引っ張られ、
「痛……!」
思わず声を上げると、東吾は「ごめん」とすぐに私の足を撫でてくれる。
健次郎くんは立ち上がると、腰高の窓を開けた、もっとも高層階の窓だからか10センチ程しか開かない、その窓から、小さな手錠の鍵をスナップを効かせて投げ捨てた──!
「ケン!!!」
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