5.

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怒鳴るけれど手遅れだ、健次郎くんはご丁寧に窓を閉めて両手を上げる。 「この高さから物を落としてはいけません、てね」 「よりによって使用中の手錠の鍵なんてもってのほかだな!」 「まあ怒るなよ、俺からの(はなむけ)だって。じゃあま、仲睦まじくお過ごし下さい」 健次郎くんは、そのまま私達を見ずに行ってしまう。 「健次郎!」 まだ繋がれている自覚が薄いのか東吾は追いかけようとする、勿論すぐに右足を取られて動けず、私が呻くものだから慌てて止まってくれたけど。 遠くでドアの開閉の音がした。 静まり返った部屋で、東吾は頭を抱える。 「東……吾……どうしよう……?」 途方にくれて声をかけた、二人揃って手錠で繋がれるなんて……。 東吾は溜息を吐いて顔を上げた。 「とりあえず」 ぐいと手を引かれて体を起こされる。 「風呂行こう」 「え、なんで……!」 呑気すぎだ! 「健次郎の匂いがするのは気に入らない」 あ……一時間も触れ合っていたんだ、当たり前だよね……。 ベッドから降りて、ふと気付く、二人揃って足を繋がれていては歩き辛くてしかたない。 「二人三脚だね」 私が思わず笑って言うと、 「面倒くさい」     
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