2313人が本棚に入れています
本棚に追加
/226ページ
「今度、亜弥サイズのも買わないとね」
言いながら和箪笥の一つを開ける。
「今日はとりあえず俺のお下がりで」
白い肌襦袢を出して私にかけてくれる。柔らかくてあったかい……モスリンと言う素材だと後で聞いた。
「子供の頃に着てたやつだけど」
「子供? 東吾、何歳から茶道やってるの?」
「本格的に始めたのは、祖父と同居が始まってからだよ。それまではソファーに座っておままごと感覚ではやってたけど」
「おままごとかあ、やっぱり慣れ親しんではいたんだねえ」
「そうかもね」
東吾は私の前身頃を整えながら笑う……んだけど、んんん?
「──着せる気ないでしょ」
「バレた?」
にこっと笑ったって誤魔化されないぞ、左右の前身頃の位置を見るふりして、私の胸を触っていた!
「少し小さいけど、多分俺が今着てるやつだと大きすぎるよな、ちょっと我慢な」
そう言って長襦袢を腰紐で留めてくれる。
「女性の着付けは判らないな」
言いながら別の引き出しを開けて、今度は着物を探してくれる。
「そんなに違う?」
「全然違うよ、まず男は衣紋なんか抜かないし、おはしょりもないからね。亜弥はきちんと教わらないとね」
「そっか……茶道やるなら着れて当たり前?」
最初のコメントを投稿しよう!