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万里子さんがお店に来てれたのは、それから三日後の事だった。
「まあ、万里子さん!」
母が応対に出た、なんだか盛り上がって話をしていて、百合を一輪購入していた。
おつりの受け取りながら、
「あの、亜弥ちゃんと少しお話をさせてもらっていい?」
遠慮がちに言われた、母は快諾する。
ちょっと、と言われて店を離れて、人気のない路地に入った。
「亜弥ちゃん、ごめんなさいね」
すぐに判った、健次郎くんの事だ。
「あの、もし亜弥ちゃんが嫌だったら……東吾とのこと、なかったことにしてもいい……って、みんなで話したんだけれど……」
「……みんな?」
万里子さんは小さく頷く。
「東吾と、主人と……おじいちゃんもね」
東吾が、話したんだと判った。
それは大きな決断だろう、既に仲人さんも決まって、結納の日取りも話し合ってる最中だ。それを白紙にとなったら、葉山家の恥になるだろうに……。
「私も女だからね。二人きりで手錠されて、しかも東吾があんなに怒るなんて、そりゃただ事じゃないって判るわよ……ごめんね、許されない事をしたわ、女の子なら最大の辱めよね。本当にごめんなさい、謝って済む事ではないけれど、それでも亜弥ちゃんが許してくれたって判る、東吾といてくれたんだもの。でも、健次郎と無関係では、いられないのよ」
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