6.

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勝手だ。じゃあ健次郎くんの気持ちを受け入れられるのかと言われたら、それは無理で。 だからと言って出て行けと言われてしまうのは辛くて。 「ありがと、亜弥ちゃん」 万里子さんは微笑んだ、嬉しそうに。 「東吾も、亜弥ちゃんは自分が守るからって言ってたわ。私もね、自分がお腹痛めた子をなかった事にはできなくて。でもしたことがしたことだし……でも、もう一度主人には言ってみるわね、亜弥ちゃんに処罰感情はありませんって」 私は頷いた、それからはっとする。 「あの、東吾には言わないでください、私が健次郎くんに思ってる事……きっと甘いって怒ると思うので」 最後までしなかったからいいとか思ってるとか、思われたくない……。 万里子さんはにこっと微笑んだ。 「判ったわ。本当にありがとう、美也さんにもお礼言わなくちゃ、いい子に育てたねって」 母にお礼か……きっと、母には意味不明だよね。 *** 美乃利と待ち合わせたのは、例の焼き鳥屋だった。 店の引き戸を開けると、既にいた美乃利が手を振ってくれた。 「おお!!!」 店内がどよめいた、何事!? 「これが、例のイケメン家元さんかい! こりゃ確かに美形だ!」 店の店長さんが大きな声で言う、私の後ろにいた東吾が「うん?」と声を上げた。 「おお、噂の! さあさあ座んな!」 これはお客さん、私と東吾の手を引っ張って、美乃利がいる小上がりの席に座らせられた。 「あ、あの……!?」 「今日は先日の戦勝報告会と聞いたぜ、さあ、何呑む!?」 見ず知らずのお客さんのに囃し立てられたけど、何のことやら!? そして注文もしてないのに、ジョッキのビールが二つ出てきた! 「あ、あの!」 「いやさあ、亜弥が帰ってから、大変だったのよお」 美乃利が話し出す。     
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