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「愛してる、うん私も、っていなくなったでしょう? そんな青春真っ只中みたいなシチュエーションだったもんだから、なんだなんだって私が責め立てられてさあ。10数年ぶりに出逢った幼馴染が、変な女が現れたとかで大喧嘩して別れる別れないだ大騒ぎだったのを私が仲裁してやったって話したら、亜弥が美人だからおじさんが慰めてやったのに、とこの辺のおっさんがうるさくてさ」 指を指された数人のおじ様がへらりと笑う。 「あんたらなんか足元にも及ばない、イケメン家元がいるんだから控えおろうって言ってやったら、見せろ見せろって言うもんだから。まあ私も番頭(ばんとう)やってんのちらっと見ただけだから間近で見たかったし」 「半東(はんとう)です」 東吾がしれっと訂正した。 「ああ、ハントウ。でさ、奢れって言ってあったから、じゃあこの店でと思って」 「そうだったんだ」 美乃利の方から連絡があったのだ、焼肉奢れって言っていたのを、この間の焼き鳥屋でいいから会おうと言われた。 美乃利自身が予約を入れていたのだが……。 「あの電話、このお店からだったんだ?」 東吾が言う。 「うん、美乃利と呑んでて……」 「もう、本当に面倒だったんだから。ウジウジ、ウジウジ、じゃあ喧嘩すんなよって感じよ」 「そんな事言ったって」 「俺が悪かったんです」 東吾はビールを一口飲んでから言った。 「ちゃんと話せばよかったのに、まあいいかって済ませてたから、亜弥が不安になるのもしかたないです」 「ま、それってのろけね」 美乃利が茶化す。 「のろけかな。まあ俺は、逢えなかった間の亜弥の事は気にならないけどね」 「え、そうなの?」     
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